練習方法

発表会でピアノを弾く時の緊張対策・予防方法

「練習では上手く弾けていたのに、発表会では緊張して失敗してしまう」という人は多いでしょう。

今回はどうすれば緊張しないで弾けるのか、対策や予防方法を紹介していきます。

緊張は敵ではない

緊張は敵ではない

対策や予防方法を見ていく前に、まずは緊張に立ち向かう心構えを考えてみましょう。

「緊張することは敵=悪」のように考えてしまいがちですよね。過度な緊張をすると失敗につながる可能性が高まるため、そう考えるのも無理はありません。しかし、実は全く緊張しなくても失敗を招くことがあります。つまり、「失敗しないためにどうしたら良いか」という点においては、適度な緊張が必要なのです。

科学的には普段の心拍数プラス30程度が適度な緊張状態であると言われています。いちいち心拍数は計れないと思いますので、なにか好きなことを始める前のワクワクするような心理状態を目安に考えると分かりやすいかもしれません。

では、過度な緊張状態から適度な緊張状態にするにはどうしたら良いのか、以下で解説します。

緊張しないための3つの対策と2つの予防

緊張対策1:体を温める

緊張対策1:体を温める

緊張すると体や手足が冷えたり震えたりすることがあります。これは、副交感神経が過剰に働いていることが原因と言われています。神経系の難しい話になりますが、訓練により緊張をほぐすことが可能です。

具体的なやり方は、深呼吸をしたあとに周囲に目を向けて状況を口に出して言う(伝えるとなお良い)ことです。例えば「イスが見える」「赤い階段が見える」などなんでも良いです。いまここにいるという状況を視覚的に確認し、口にすることでフリーズ状態だった体が温まり、震えも消えていきます。

メンタル的にはこのような方法もアリですが、体が冷えていて指が動かしづらいと感じたら、カイロやミニ毛布などを使って物理的に体を温めることも大切です。後述する体を動かす方法も有効なので、ぜひチェックしてみてくださいね。

緊張対策2:落ち着く環境をつくる

緊張対策2:落ち着く環境をつくる

落ち着く環境をつくるのに有効なのが「アンカリング」とうい手法です。アンカリングとは、ある刺激によって反応を生み出すという「条件付け」です。

例えばイチローはバッターボックスに立つ時に腕を伸ばすポーズをしますよね?これにより、どんな投球にも対応する心理状態を作っているそうです。また、ラグビーの五郎丸選手のルーティンもパフォーマンスを高めるためのアンカリングと言えます。アンカリングの流れは、「刺激→反応」です。イチローや五郎丸選手でいうポーズやルーティンが刺激ですね。それによる反応がパフォーマンスを高める心理状態です。

アンカリングの手順

「ピアノの発表会での緊張を和らげる」という反応のための刺激はなにかを考えることが重要です。手順だけを先に示すと、以下のようになります。

1.過去に「すごく落ち着く」状態になったときのことを思い出す

2.その時の自分に入り、声や光景などに浸る

3.深く感じる状態になるポーズ(もしくは物、音など)を見つける

4.落ち着く感覚がピークを超えて落ち始めたらポーズを解く

5.体を揺するなどして落ち着く感覚を解放する

6.1から4を繰り返し、落ち着く感覚が湧き起こるかをチェックする

まずは「落ち着く状態」を過去の経験から引っ張り出し、感情移入してみましょう。次に深く感じる状態をキープできる「刺激」を見つけます。頭で考えるだけで落ち着くならそれで問題ありませんが、「刺激」によって落ち着く感覚が手に入るとあらゆる場面でアンカリングができるようになるでしょう。

アンカリングにおける刺激には大きく分けて「触覚、聴覚、視覚」の3つ。どのような刺激により緊張対策ができるのかは人それぞれ。音楽を聴くでも良いですし、お守りを握る、手をのばす、好きな人の声を聴く、写真を見るなど、どのようなことでも試してみましょう。ただし、発表会の本番直前まで再現できるものを選ぶのがポイントです。普段から落ち着く感覚になるスイッチとなる「刺激」を探しておきましょう。

緊張対策3:体を動かす

緊張対策3:体を動かす

運動がストレス解消やリラックス効果にあることは科学的に証明されています。しかし、本番直前に運動をすることは難しいと思いますので、舞台袖でも簡単にできる方法を紹介します。

座ったままでも良いため、肩をギュッと上に上げて力を入れ、ストンと力を抜きます。筋弛緩法というやり方で、力を入れてから一気に力を抜くという簡単な手順でできるため、本番前にもおすすめです。肩でなくても、目をぎゅっと瞑って戻す、口を突き出して戻す、というやり方でもOK。ただし、力を入れるのは8秒間、力を抜くのは2秒間にしましょう。

予防方法1:納得するまで練習する

予防方法1:納得するまで練習する

練習が不十分ですと、どうしても本番で不安が残りますよね。そのため、納得するまで練習することが緊張の予防に繋がります。

練習方法としては、暗譜することはもちろん、つまづくポイントに絞って繰り返し練習し、通しての練習を繰り返すこと。誰しも行う練習方法ですが、まずはこれが基本です。ある程度自信がついたら何人かのギャラリーをそろえて人前で弾く練習をしてみましょう。また、つまづいてもそのまま弾き続ける、わざと途中から弾く練習方法も有効的。本番でつまづいても慌てずに弾ききることができるようになります。

これだけやった!と思えるようにたくさん練習すれば本番でも自信を持って弾けるようになるでしょう。

予防方法2:完璧を目指さない

たくさん練習することが大切と紹介しましたが、頑張り過ぎは禁物。完璧を目指すのではなく、7割程度弾ける状態を目指しましょう。ハードルを下げることにより、リラックスした状態で弾けるようになります。

すると音楽が自分のものになるような感覚を感じられるでしょう。音楽に集中できるようになり、発表会でも自分の音楽を奏でることに集中できます。

これをやったらダメ!緊張を加速させるNG対策例

これをやったらダメ!緊張を加速させるNG対策例

緊張しているときに、深呼吸をしたり緊張から目をそらすようにしたりという対策をしていませんか?実はやり方によってはこれは間違い、むしろ緊張を加速させてしまうという意見も多いです。以下で詳しく見てみましょう。

吸いすぎ深呼吸はNG

「深呼吸をしてみてください」と言うと、だいたいの人がおもいっきり息を吸い込むでしょう。実はこれでは緊張を加速すると言われています。息をおもいっきり吸うと交感神経が刺激され、本能的に体が緊張してしまいます。

緊張しない深呼吸の方法は、ゆっくりと深呼吸をすること。息をゆっくりと吸い、ゆっくりと吐きます。こうすることで自律神経のバランスが整うと言われています。コツは隣の人に聞こえないくらい、静かに長く息を吸い、吐くこと。

ただし、呼吸法に慣れていない人は本番での緊張対策として深呼吸を取り入れることはやめたほうが良いでしょう。その理由は、「うまく呼吸をしなくちゃ」と無理に落ち着かせようとすることがストレスとなり、余計に緊張してしまうからです。慣れない人は緊張対策の深呼吸は選択肢から外しましょう。

「緊張していない」と自己暗示するのはNG

緊張をほぐそうとして、自分に「緊張していない」と言い聞かせている人は要注意。緊張から目をそらすようにすることはうまくやれば有効的ですが、「自分は緊張していない」「私は大丈夫」と言い聞かせることで逆にプレッシャーとなることも多いです。

「緊張していない」とを言い聞かせるということは、緊張に気持ちが持っていかれている証拠です。目をそらしているつもりでも意識は緊張へまっしぐら。無意識でも緊張に引っ張られて良いパフォーマンスができなくなってしまうでしょう。そのため、「緊張しているなあ」と自分を認めてあげましょう。こうすることで少し緊張がほぐれますよ。

できそうな対策・予防方法を試してみよう

緊張対策や予防方法などを紹介しました。全て行う必要はないため、負担なくできそうなものだけを取り入れて実践してみてください。ぜひ本記事を参考にし、リラックスした状態であなただけの素敵な音楽を奏でてみましょう!